手術後にベッド上でどんな状況になるか想像もつかなかったので、家から持ち込んだ本は手術前に読んでしまおうと思った2~3冊でした。
手術後、無理やり(?)歩かされ(?)てからは、体をちょっとでもひねるなりして切ったおなかの傷口を痛めなければ、なんとか読書はできそう。
こうした時のために、家には何冊か入院中に読めれば、と思った本を積んでおいたので、妻にお願いしてもってきてもらいました。
23日から25日にかけ、『自治体再建』(今井照著、ちくま新書)、『コミュニティを再考する』(伊豫谷登士翁・斎藤純一・吉原直樹著、平凡社新書)、『商店街再生の罠』(久繁[ひさしげ]哲之介著、ちくま新書)を読みました。
「自治体」は、副題に「原発避難と『移動する村』」とあるように、原発避難者が失ったのが毎日のリアルな日常生活であることを検証し、「帰還」でも「移住」でもない第三の道があること、3・11後の「自治体」のあり方を提言します。自治体が守るべきは、財政や地域経済なのでしょうか? 「人」のはずです。
「コミュニティ」は、3・11後に、「コミュニティの復権ともいえるような知的状況が出現してきた」現況のもと、「コミュニティに淡い希望を見出そうとするさまざまな力学が働いており…そのせめぎ合いを紐解」くことがねらいです。政治哲学、経済学、社会学の各専門分野からその地平を切り開く「再考」です。具体的・実践的な話も聞きたくなりました。
「商店街」は、昨年8月発行ですが、3・11を意識したわけではなく、それ以前から全国の商店街再生の現場を見て歩いた著者の分析とほんとうの復活への提言ともなっています。本書の冒頭から、「商店街が衰退する本質は『公務員など商店街支援者と商店主の多くに、意欲と能力が欠けている』ことにあ」り、これを「隠蔽するため、大型店を悪い強者に仕立てあげて『商店街は大型店に顧客を奪われた可哀想な弱者だから、救済すべき』という幻想を生み出した」と断じるのはどうなのか疑問なしとしませんが、ともかく、参考にすべきです。