『思惟する天文学』(佐藤勝彦ほか9人著、新日本出版社)を読みました。
副題は「宇宙の公案を解く」ですが、「公案」とは編集者あとがきによれば「禅の世界で、導師が弟子の修行の手助けをするために出題する課題のようなもの」と解説があります。
ともかく本書の企画のねらいに、天文学を「科学」の枠組みから「思想としての天文学」の枠組みへと拡張し、その可能性を探求する試みがあるようです。
そのために、その主旨に賛同した10人の研究者に、おのおのの関心に沿ったテーマでの論考を天文誌「スカイウォッチャー」に連載し、この記事から17年の歳月を経た2012年に後継誌「星ナビ」で、同じ執筆者による同じテーマの再論稿を掲載し、これらを構成しなおして編んだのが本書です。
日本を代表する10人の宇宙学者による「十人十色」の思索です。