冊子の『失われた町からの声 福島/残る人・去った人』(名越智恵子著)、『「新富裕層」が日本を滅ぼす』(森永卓郎監修・武田知弘著、中公新書ラクレ)を読みました。
冊子のほうは、入院中、私が住む隣りの住宅地のかたが自宅に届けに来てくれたもので、1995年から11年間、いわき市内の昌平黌・東日本国際大学で教鞭をとられていました。東日本大震災後、放射線関連の講演依頼を受けていわき市にも何度か足を運んだそうです。
もともと著者は、原子核実験にかかわる仕事をしていて、そうした講演の際に出された質問や意見のメモを読み直し、整理し、もっとも切実と思われる問題を68のQ&Aにし、序章と終章を加えて出来上がったのがこの冊子です。
「新富裕層」は、大蔵官僚だった著者が、「日本経済がなぜ低迷し、なぜ国民生活が一向に豊かにならないか」、それは「現在の大企業や富裕層に有利な所得分配や税制を通じて、経済成長の成果が大企業や富裕層に集中し、庶民や中小企業に回らないため、消費が低迷してデフレになっている」メカニズムにある(森永氏の解説)ことを明らかにしています。