『加藤周一自選集10』(鷲巣力編、岩波書店)を読みました。
加藤さんは1919年9月19日生まれで2008年12月5日に亡くなりました。加藤さんの紹介でよく表現されるのが「和洋漢の幅広い教養と繊維な感性」や「日本の文学・思想・美術の歴史を世界史的視野から見つめる態度」など。
2004年6月の「九条の会」発足時は、9人の呼びかけ人のうちの1人でした。
本書は「自選集」の第10巻で、加藤さんが生きた最後の10年間である1999年から2008年の絶筆となった文章まで、著作100篇を収めています。
執筆された短い文章で、「朝日新聞」の「夕陽妄語」に掲載された文章も多いのですが、講演や対話を文字に起こしたものよりも、密度が濃いです。「刊行にあたって」編者は、「加藤氏の著作は、文意は明瞭、視点は斬新」「美しく、精確な文で表現」「詩人の魂と科学者の方法を兼ね備えた稀有な作家」「少数者としての矜持を保って発言し続け、弱者を理解する姿勢を崩さなかった」と評しています。