「不戦の誓い」にもっともふさわしくない靖国神社

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NHKなど一部メディアは、安倍首相の靖国神社参拝をめぐって、「『不戦の誓い』をした」という首相の説明を、靖国神社がどんなところかにはいっさい触れず、無批判に流します。戦争犠牲者を悼み、不戦を誓ってなにが悪い、と国民に刷り込もうとする意図があるのでしょうか。

かつて、自民党幹事長、内閣官房長官を歴任した野中広務氏は、『世界』(岩波書店)08年1月号で、安倍氏が第一次政権を投げ出したあと、「過去を美化する傾向を持ったグループと共に行動していたので、私は心配していた」と、こんなことを語っていました。

「再び戦死者が靖国神社に祀られるようなことだけは絶対にあってはなりません。私は、靖国に祀られて喜ぶ人はいないと思っています」。

「岸信介が、釈放後に政界へ復帰し、やがて日本の総理になったことは、日本において戦争責任が果たされていない典型です」。

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「若い人々が戦争体験を持っていないのは幸せなことです。ただ、戦争を知らないがゆえに、無責任な言動も増えています。若い政治家や、政治家を志す人々には、昭和二〇年の敗戦に至るまでの異常な日本の歴史を冷静な眼で眺め、どんな不幸を関係諸国に与えてきたのかに思いを馳せていただきたい。そしてその傷跡を今も残しつづけていることは民族の恥だと考えなくてはいけないと思います」。

また私は、05年9月17日、浜通り医療生協の「九条の会」(当時は準備会)による「靖国神社・江戸東京博物館見学ツアー」に参加し、「日本人が戦った歴史をより正しく理解」を広めるために、02年に全面改装された「日本初の軍事博物館」である、靖国神社の遊就館(ゆうしゅうかん)を見てまわりました。

日露戦争の「戦勝」について、「特に、アジアの青少年に与えた影響は、20世紀の世界を変える原動力となった」。

「満州の歴史」について、「満州事変の後の清朝の宣統帝を元首とする満州国が建設されたが、現在は中国が支配し東北部と称している」。

日本の降伏にいたる過程でも、日本は42年から終戦・和平工作の努力を重ねたが「米国には早期和平の意志はなく、ポツダム宣言まで、交渉の機会が訪れることはなかった」。

なによりも、青少年向けの無料リーフレットには、「日清戦争」から「大東亜戦争(第二次世界大戦)」にふれた部分で「日本の独立をしっかりと守り、平和な国として、まわりのアジアの国々と共に栄えていくためには、戦わなければならなかったのです」と説明しています。

「侵略」とか「植民地支配」はありえず、日本の独立とアジアのための正しい戦争であった、という主張が堂々とされています。

昨年12月16日にアメリカの「ニューヨーク・タイムズ」が社説で靖国参拝の安倍首相のねらいが「時代錯誤的であり、同時に危険なビジョン」と書いたことが世界の常識なのだと思います。

「不戦の誓い」にもっともふさわしくない場所が靖国神社なのです。

140112佐々木宅

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