『住まいを再生する』(平山洋介・斎藤浩編、岩波書店)を読みました。
A5版240ページほどの本で、第Ⅰ部が「復興の枠組みを考える」として、復興に関する政策・制度について住宅再生に役立つかどうかを理念、まちづくりの担い手、「復興特区」、復興予算問題の角度から分析します。
第Ⅱ部が「津波被災地の苦闘」として、津波被災地の仮設住宅、恒久住宅、復興まちづくり計画・事業を分析します。
第Ⅲ部が「引き裂かれる原発被災地」として、原発被災地の居住権、広域避難、賠償の独特の論点を提示し掘り下げています。
ただ、第Ⅰ部・第Ⅱ部で展開されている問題もまた原発被災地では独特の課題が提起されているはずで、たぶん、編者・著者も自覚されていると思うのですが、ともかく、原発震災に見舞われた被災地の被災者の生活・なりわいの再生の視点からの住まいに関する全体的分析と展望の探求がなくてはならない、という思いです。
でないと、「それはあんたがたの問題だろう」と言われるような、苦しい思いに追い込まれるような… 確かに実態に基づく政策立案は大いなる課題です。