安倍首相は、今月5日に「アベノミクス」の成長戦略第3弾を発表した際、海外経済に恵まれ、成長シナリオを実現できれば、1人あたりの国民総所得(GNI)は年3%を上回る伸びとなり、10年後には現在の水準から150万円増やすことができる、と話していました。
都議選応援演説で首相は、この「1人あたりの国民総所得」の部分を、「平均年収」とか「年収」とか「みなさんの所得」とかと言い換えて話していた、とのこと。
国民総所得(GNI)は、以前は国民総生産(GNP)と言っていたもので、日本人や日本企業を「国民」とみなし、日本企業の海外での所得も含まれます。だから、企業が国内の工場を閉鎖して海外に展開し、国内で得ていた所得を海外で得れば、GNIは変わりません。また企業がもうけを増やしても労働者に回さなければ、GNIは増えても給与は変わりません。
要するに、「1人あたりの国民総所得」と「1人あたりの給与所得」はまったく別の指標です。
小泉内閣(2001年4月発足)の2年目から安倍第一次政権の07年までの5年間では、1人あたりのGNIは396.8万円から414.5万円へ17.7万円増えましたが、1人あたりの給与は412.2万円から396.4万円に15.8万円減っています。ちなみに01年から06年の企業の利益は26.2兆円から54.4兆円にほぼ倍増です(グラフは「しんぶん赤旗」日曜版6月16日号)。
首相自らが、日本国民と日本経済に責任をもたない多国籍企業の利益を優先し、幻想とうそを振りまくなど、詐欺と言っていいもので、とうてい許せるものではありません。
と怒りつつ、きょうは当面の活動と6月議会での質問についての県議団会議、夕刻近くには「ふくしま復興共同センター」の「原発事故被害の完全賠償を実現するための要望」に基づく県交渉に同行しました。