「かけはし」6月号一次原稿/立憲主義の核心を変える

130523三宅島

安倍晋三首相は、改憲手続きを定める憲法96条改定を「参院選で中心的な公約として訴えたい」と一度は明言しました。

憲法改定は、国会が「各議員の総議員の3分の2以上の賛成」で、どの条項をどう変えるか「発議」し、これに対して「特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票」で、承認するかどうかを決めます。承認には「その過半数の賛成」が必要です。

それを自民党は、「両議院それぞれの総議員の過半数の賛成」へ、発議要件を緩和し、一般の法律と同じにしようとしています。

その最大の問題は、権力の制限を根本におく立憲主義の核心を変えてしまうことです。

立憲主義は、主権者である国民が、その人権を保障するために、憲法によって国家権力を縛(しば)る考え方です。

だから憲法は、権力者の都合のいいように変えさせないために、きびしい手続きを要求しているわけです。

130521レインボーブリッジ

アメリカでは上下各院の3分の2以上の賛成による発議と4分の3以上の州議会の賛成、ドイツでは連邦議会・連邦参議院それぞれの3分の2以上(国民投票なし)、韓国では国会の3分の2以上の賛成と国民投票が求められていて、日本だけが改正しにくい手続きではありません。

憲法99条は、憲法尊重擁護義務を負うのは「天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」としています。「国民」は意図的にはずしてあります。

国民は政府や議員、公務員に対して「憲法を尊重し、擁護せよ」と要求する権利をもっているからです。

だから99条は、立憲主義憲法の真髄とも言われます。

自民党はこの99条も「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」と付け加え、義務を負う人たちから天皇と摂政をはずします。

そして、天皇を元首とし、国防軍を創設し、「人類普遍の原理」への敬意をことさらに削除するのです。断じて許せません。

130528存置林

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