『発達をはぐくむ目と心』(白石正久著、全障研出版部)を読みました。
著者は障害児教育・障害児の発達診断を専攻する研究者。本書の発行は06年7月で、月刊誌「みんなのねがい」05年4月号から06年3月号までの12回連載をまとめたものです。副題は「発達保障のための12章」。
執筆時期は、廃止することだけは決まった障害者自立支援法が自公政権によって成立させられた05年10月のまさにその前後。
「『小さな政府』『官から民へ』を合いことばにした責任放棄や国民への『自己責任』の徹底、かつ『規制緩和』による民間依存を進行させている問題は、生存権への制限にとどまらず、自然権、自由権に対する侵害を『実感』させ」るその典型が「障害者自立支援法の制定でした」と指摘しています。
本書はその批判を主眼にしているわけではなく、著者自身が発達保障への理解を認識し感じたように記した、とのこと。
人間が生まれながらにしてもっている可能性の開花が発達であり、その実現はすべての人に保障される権利であることから話は始まります。
大学の先輩である著者からは、学生時代、ほんとうにやさしさを感じられることばをかけられていたことを思い出します。