『原発とは結局なんだったのか』(清水修二著、東京新聞)を読みました。
著者は、7月の福島県議会海外行政視察に顧問として私費で同行してくれた福島大学教授です。2008年4月から今年3月までは副学長として原発事故後の対応にも奔走されました。
財政学・地域論を専門にする立場から、原発には一貫して批判的な立場をとってきた学者です。京都大学の私の大先輩でもあります。
著者にとって、答えは出ているように思えるので、本書のタイトルでは過去形表現をとった、とのこと。
結論を書いてしまうと、原発とは、国民の「自覚なき選択」と「怠惰な現実主義」に支えられた存在であり、「国民から遊離した科学」の世界に置かれてきた技術であり、日本的な金権システムをテコに地域住民や地方自治体を「理性より利害」の世界に取り込んで立地を促進する「地域差別の構造」をはらんだもの。
原発を批判し続けたご自身を含め、原発に頼らない社会を訴え続けた「国民」の姿に触れられていないことが私の不満です。