『原発事故の被害と補償』(大島堅一・除本理史著、大月書店)を読みました。
「社会的費用」論、「環境コスト」論を理論的バックグラウンドにしつつ、大学院時代に同じゼミに所属していた2人による、昨年11月半ばまでの情報にもとづく、原発事故補償をめぐる「中間報告」です。
政府による「事故収束」宣言や、避難対象区域再編などの動きの前までですが、本書ではそれを前提に、被害の全体像(第1章)、従来の公害問題との共通性と異質性に着目した社会経済的側面の被害構造(第2章)、経済的被害を諸類型を整理したうえでの被害額の大きさ(第3章)、被害を引き起こした関係主体の責任に基づく補償財源(第4章)を論じます。
ともかく、福島原発事故による全面補償、エネルギー政策の転換を願い、「人間の復興」をめざす被害補償のあり方を示してくれています。