『家族で語る 食卓の放射能汚染[増補改訂版]』(安斎育郎著、同時代社)を読みました。
もともとこの本は、1986年4月26日のチェルノブイリ原発事故後、輸入食品の放射能汚染が問題化していたときに書かれたもので、福島原発事故を受けて増補改訂として緊急出版されました。
今回の原発事故の現状を執筆時点で見据えつつ、放射能とはなんなのか、放射線の人体への影響はどうなのか、かなり詳細に、かつ、安斎さんらしくわかりやすく解説し、そのうえで食品の放射能汚染にどう対処するかを語ってくれています。
「放射線や放射能について基本的な知識を身につけ、その危険性について理解を深めるとともに、無用な恐怖感をもたないように学習すること」の姿勢は、こういう事態に遭遇してしまった以上、誰にでも求められると思います。
原発事故はぜったいないという「安全神話」にいまだにしばられ、こうした知識を身につける必要はない、としてきた歴代政府と民主党政権の罪の深さが、よくわかると思います。大人も子どもも、こうした知識を学ぶ機会を得られなかったのは、すぐれて政治の責任です。そのことを政治的にはっきりと審判を下すべきときだと私は思います。