『福島原発事故』(安斎育郎著、かもがわ出版)を読みました。副題は「どうする 日本の原発政策」です。
著者の安斎さんは、4月17日にいわき市にも来られた放射線防護学の専門家です。「東日本大震災・原発震災緊急報告会」で「放射能 そこが知りたい」のテーマで講演もしていただいたかたです。
1962(昭和37)年に、この日本で原子力政策を進めるために必要とされる技術者を養成する機関として創設された、東京大学工学部原子力工学科の第一期生です。
それ以来50年にわたり、とくに東大医学部助手時代に、尾行・差別・ネグレクト・威嚇・懐柔といったさまざまなアカデミックハラスメントにさらされながら、原発政策批判にとりくんできました。
3月11日午後2時46分に発生した東日本大震災は、1923年の関東大震災の約45倍、1995年の阪神・淡路大震災の約350倍のエネルギーです。
この地震の揺れと津波に加えて、大量の放射線放出を招いた福島第一原発の事故が重なり、地球上で、人類が初めて体験する災害となりました。
「無力感に打ちひしがれることなく、一人一人が自分にできることを実践すること―これがいま一番大事」、「悔やんでも元へ戻らないことは悔やまず、事態打開の再出発のために力を尽くす…ゆとりがある人は資金を、元気な人は労力を、知恵のある人はアイデアを、言葉のある人はメッセージを、それぞれ出し合ってよりよく生きられる状況を切り開」くことを願い、全編書き下ろしです。
放射能や放射線、原発の基本についても、心を砕いて書かれています。