『看護崩壊』(小林美希著、アスキー新書)を読みました。
かなりの力作だと思います。
看護の労働現場の問題が、単に医療への影響ばかりでなく、日本の労働者全体に関わる重要で深刻な問題であることを提起しています。
その過酷な労働実態と、悪化がすすむ労働環境を生み出した構造問題を現場取材からえぐり出し、経営上や制度の不備がどこにあるかを示してくれています。
なにより、「看護師不足の問題こそ、憲法の第25条で保障される、健康で文化的な最低限度の生活を営む『生存権』を脅かしている」という認識、「自分の地域の病院が危機的状況でも、職員は忙しすぎて目を向けられず、住民も実態を知らないままいれば、医療は崩壊の一途をたどる」という認識は、医療従事者はもちろん、住民、行政にたずさわる人、議員が共有しないとならない、と私は強く思います。