藤田孝典著『続・下流老人』(朝日新書)を読みました。昨年6月発行の前著『下流老人』が20万部を突破し、現実問題として、「1億総下流化を防ぐ解決策を示す」と銘打たれています。「何より強調したいのは『保険料や税を多く支払った分だけ、生活が改善された』という❝受益感❞がないことだ。まるで巨大なブラックホールに税金や保険料を投げ入れているような、底知れぬ不安感が『いくら金があっても足りない』という飢餓感を生み出し、高齢者を労働に駆り立てている」。
本書でも実例として紹介されていますが、「多問題家族」を抱えれば、「住宅ローンは現役時代に払い終え」、「退職時には約3000万円の退職金を受け取り」、「奥さんの国民年金と合わせると月30万円」ほどの年金受給額であっても、今や自らアルバイトをしなければ家計がもたない70代の男性。それでもアベは、「これでもか、これでもか」とやってくる。
小手先の問題でなく、「安心をお金で買う社会から、生活に必要な物やサービスを誰もが平等に享受できる社会」、「脱商品化」をキーワードとした「日本の社会保障制度を構築し直すことを真剣に考える」書です。