先日の経産省への生き帰り、『下流老人』(藤田孝典著、朝日新書)を読みました。副題は「一億総老後崩壊の衝撃」というもの。
著者はこの12年間、生活困窮者支援をするNPO法人の活動に携わり、多くの生活困窮者の惨状を目の当たりしてきた、と言います。
たしかに、報道などで、日に一度しか食事をとれず、スーパーで見切り品の惣菜だけをもってレジに並ぶ、生活の苦しさから万引きし、店員や警察から叱責される、医療費が払えないため、病気を治療できずに自宅で市販薬を飲んで痛みをごまかす、誰にも看取られずひとり静かに死を迎える…といった高齢者の事例を見たり聞いたりします。
本書では、著者の実体験から、現役時にごく一般的な収入(たとえば平均年収が400万円前後)を得ていても、高齢期に相当な下流リスクが生じていることなどの「下流老人」の実情、その社会的背景、未来予想図、自己防衛策、制度や政策への提言を示しています。