東と西の語る日本の歴史

網野善彦著『東と西の語る日本の歴史』(講談社学術文庫)を読みました。もともと本書は34年前、1982年に発行され、16年前の98年に文庫化されました。私も西日本に5年ばかり住んだころ、近畿、中国、四国、九州出身の同世代の学生たちとお付き合いし、言葉だけなく、いろいろ「東と西」の違いを感じたものでした。著者も「東日本に生まれ育った私にとって、西日本のもっとも東に位置する名古屋での生活すら、食物、言葉、気風など、なじむのにかなりの時間を必要とした」と体験を語り、当時、一般に横たわっている、「日本は律令国家成立後は単一国家であるとする見方」に疑問があるとするなら、歴史の全体像も変わらざるを得ないのでは?   との歴史家としての問題意識から、「日本列島の東と西に生きた人びとの生活、文化、社会の違いに注目し、その差異が歴史の中にどのように作用を及ぼしてきたかを、できるだけ明らかにしてみたい」として著された本です。「網野史学の代表作の一つ」とされている、今も刺激的で課題も多く残されている書です。私にとっては率直なところ、手元に「積ん読」状態になってしまっている本を早くなくしたい、との思いでこういう機会を活用している感じ… あと数冊…

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