『夕陽妄語(せきようもうご)3 2001-2008』(加藤周一著、ちくま文庫)を読みました。
私にとってはどんなにリスペクトしようとしきれないような「知の巨人」。04年には9人の呼びかけ人の一人として「九条の会」を立ち上げ、その後、9条改憲を許さない講演・啓蒙活動にまい進していたように思います。
08年12月5日に89歳で亡くなりました。もう8年になりますが、とくに政治的・社会的問題が発生するたびに、私などは、“加藤さんならこの問題にどんな表現で立ち向かうのだろう”と思うことがしばしばです。
「夕陽妄語」は「朝日新聞」に1984年7月から月に一度の連載として始まり、2008年7月まで285回、加藤さんの表現で書き綴った文章で、その最終巻が本書です。
解説の小川和也氏が書いています。「『夕陽妄語』の一方の軸には、友人の死や、感覚的経験など、かけがえのない人生の一回性に関わる随筆があり、一方の軸には、その一回性を超えて進む歴史や政治、あるいは、人間や芸術・文化を破壊する戦争に対する意見・抗議がある。その二つの軸が交わっているのが、『夕陽妄語』である…『夕陽妄語』を読むことは、現代という時代と人間を読むことである」。
私が言わんとすること(?)そのものです。