『定本 落語』(加太こうじ著、青磁社)を読みました。消費税が導入された1989年の9月に発行されています。したがって印刷されている価格は定価・本体の両方が表示されています(今はだいたい本体[税別]とか本体+税とされているようです)。著者の加太さんは1998年に80歳で亡くなっています。
たぶん、発行当初に買って、ずっといっしょに移動していた本です。少なくとも27年前から落語を知ろうとするつもりはあったようです。
なお本書の「原型」は、1961年発行の『落語-大衆芸術への招待』(社会思想社・現代教養文庫)で、30万部近く売れたこの文庫本に手を加えて「決定版」としたために「定本」と付した、と著者。
そういうことはともかく、本書は「落語は文学である」「落語は日本独特の民衆芸術である」との観点から書かれ、百数十種類の落語の解説を兼ねています。
そして落語の将来について、古典落語をたくみに演じると同時に、民衆の立場に立ち、古典落語から摂取し、当代をえがくことで今日の落語をいかにつくり得るかにかかっている、と結論づけています。
著者はもともと紙芝居作者・画家で、カバー絵・題字も著者によるものです。