医療を含めた社会保障と税制との「一体改革」にいまだだまされるのはよくないと思います。安倍首相は、消費税増税を2年半先送りしたことを理由に、社会保障について増税した場合と同じことを行なえなくなったと言い出していることといっしょです。
石井正三さん(元いわき市医師会会長)は、「医療制度は、国民にとっても有効な公共財」という見方を示し、「医療経済の実態を紐解き、国民に説明していかなければならない」としたうえで、「企業への課税体系を見直すなどして、社会保障財源とし、社会のために、特に医療のために活用する方策があってよい」と、消費税とは別の道を示しています(『だれが医療を殺すのか』)。
大企業や富裕層にはタックスヘイブンの問題もあります。戦後史上初めて日本の軍事費が5兆円を超えた問題もあります。なにより、消費税が導入されて以降、社会保障は悪くなるばかりの事実と、それを「だれが」した事実なのかを見きわめる時です。
だいたい、安倍政権は消費税増税と社会保障後退政策が一体で、「一体改革」の正体は、「増税と社会保障後退の一体」です。かつて県議会の討論でも告発したことがあります。アベノミクスと消費税増税路線の破たんは明白です。消費税増税と社会保障財源の連動は断ち切らなければなりません。大企業や高所得者の応分の負担で社会保障を賄う所得再分配の効果を発揮し、逆進性の高い消費税に頼らない別の道にこそ転換すべきです。