きのう、きょうと「表現の自由」「報道の自由」にかかわるニュースがありました。
一つは、「表現の自由」に関する国連特別報告者として初めて公式に訪日したデービッド・ケイ氏(米国)が日本での調査を終えて、おととい記者会見した報道。「朝日新聞」の見出しは「日本 報道の独立性に『脅威』」というものです。
もう一つは、国際NGO「国境なき記者団」(本部・バリ)が、180か国・地域を対象にした「報道の自由ランキング」をきのう発表した報道。
日本は昨年61位から11下がって72位です。ちなみに2010年は11位、2014年は59位。「朝日新聞」の見出しは「報道の自由72位 日本さらに後退」「NGO『自主規制』指摘」とあります。かつて、奥平康弘氏(故人、9条の会呼びかけ人の唯一の憲法研究者だった)は、1970年初版の『表現の自由とはなにか』(中公新書)で、「日本のマスコミの特徴の一つは、戦後占領下において『新聞の自由』『言論の自由』の観念および自主規制のメカニズムが、企業内の労働攻勢からの自由の脈絡のもとで成立したことにある」と指摘していました。
今や、自主規制のメカニズムがより広がり強まっているかのようです。
元共同通信社社長の原寿雄さんは、昨年(2015年)4月発行の岩波ブックレット『安倍政権とジャーナリズムの覚悟』で、「ジャーナリズムの内容が役所の広報と違わないなら、存在価値がない。発表ジャーナリズムは戦時報道の典型的な姿であり、自由なジャーナリズムの死を意味する」と書いていました。
権力のトップが「私にも言論の自由がある」と言っているのとぜんぜん違わないから、と私は思います。