『「憲法改正」の真実』(樋口陽一・小林節著、集英社新書)を読みました。
買ったその日に新書を読み切ることはめったにないことでした。ほんとうに引き込まれました。
2人の憲法学者が、国民は本気になって「知る義務」を果たしてほしい、そのためにも専門家として本気になって「知らせる義務」を果たすから、とある意味、切迫感を感じる対論です。
憲法学者とはいえ、小林さんが最初に紹介してくれているように「マスメディアがつける枕詞を借りて乱暴にまとめると、樋口先生は『護憲派』の泰斗(たいと)、私は『改憲派』の重鎮(じゅうちん)だと言われてきた憲法学者です」。
安倍首相やそのお友だち、安倍政権を評価する言葉はあちこちで辛辣ですが、そうとしか言いようがない、というお二人の思いが全体ににじみ出ています。
樋口さんは言います。「憲法という意味の constitution だけでなく、日本社会の構造という意味での constitution まで破壊している…日本銀行、内閣法制局にはじまり、日本放送協会まで、戦後を支えてきた社会の構造を次々に破壊しようとしてきた…救われる思いがするのは、その破壊に対して、現場では人々が根気強く抵抗し、自分たちの使命を果たそうとしていること」。
小林さんは最後に強調しています。「この戦いは、私たち日本国民に意識の変革を求めるもので、短期間では決着のつかない、主権者としての心の独立戦争のようなものである」。