『慰安婦問題をこれで終わらせる。』(松竹伸幸著、小学館)を読みました。
慰安婦問題では、昨年(2015年)末に日韓政府が交わした合意がありましたが、本書はそれ以前の昨年4月に初版が発行されています。
なにより著者の願いは、元慰安婦の心を安らかにすることです。政治の翻弄から慰安婦とされたかたを救い出し、心が少しでも安らぐようにしたい、ということです。
元慰安婦のかたたちのそうした平穏な晩年のためにも、日韓関係のためにも、日本の国益のためにも、政治的立場を超えた批評の対象、議論の叩き台としての著者の提案です。
本書の最後の「妥協と原理の政治について」と題された章(「補論」)は、第一~三章とほぼ同じ分量で、著者がこれまでとりくんできた仕事やその思索的格闘などが語られ、まさに本書提案の背景そのものと思います。
【「慰安婦」被害者の(左から)李玉善(イオクソン)さん(88)、姜日出(カンイルチュル)さん(87)、「ナヌムの家」の安信権(アンシングォン)所長と懇談する共産党の笠井亮衆院議員、紙智子参院議員=26日、国会内。28日付の「しんぶん赤旗」より】
ちなみに著者が編集者として世に問うた本は、『我、自衛隊を愛す 故に、憲法9条を守る』(箕輪登・小池清彦・竹岡勝美著、2007年3月)、『自衛隊の国際貢献は憲法九条で』(伊勢崎賢治著、2008年3月)、『アフガン戦争を憲法九条と非武装自衛隊で終わらせる』(伊勢崎賢治著、2010年2月)、『抑止力を問う』(柳澤協二著)など。
ご自身も2013年には『憲法九条の軍事戦略』を世に送り出していました。