『憲法九条の軍事戦略』(松竹伸幸著、平凡社新書)を読みました。
松竹さんといえば、私が1978年から大学生生活を送り始めたころだったかその直前までだったか、全学連委員長をされていました。その後、共産党の参院比例代表候補にもなり、党政策委員会外交部長の肩書で『9条が世界を変える』(かもがわ出版)の著作を読んでもいました。
「九条」と「軍事戦略」という、矛盾する言葉を結び付けたところが画期的だと思います。
とはいえ、なかなか難しいのは、日米軍事同盟と憲法九条という相反する考え方のもと、軍事的などんな事態がわが日本の軍事的行動に影響を及ぼすか、ということ。
青写真が描けないだけに、あくまで想定するほかないわけです。
本書では、日米安保条約に基づく「抑止戦略」では日本の平和と安全が確固としたものにはならないことを前提に、九条のもとでの専守防衛、経済制裁、安全保障共有戦略を語ります。
ちなみに先日書いた小林節さんの『白熱講義! 日本国憲法改正』では、北朝鮮による拉致問題と憲法13条との関係についての文脈ではありますが、「国家として先天的な自然権の自衛権をわが国も持っているし、人権の見地でみても、自衛隊の特殊部隊を派遣す(る)ことができるはずだ。それは9条に違反しないし、逆に、何も行動しないことこそが憲法違反である」と断じています。
ともかく、思考を停止したり、封じ込めたりすることなく、憲法論議こそ展開しないとなりません。