『地域交通政策づくり入門』(土居靖範・可児[かに]紀夫編著、自治体研究社)を読みました。
住んでいる地域で日常生活を満足におくることができない「生活難民」が身近で急増していることは、多くの人の実感ではないでょうか。
なにせ車がないと、買い物にも行けない、病院にも行けない、遠くもない知り合い宅にも行けない現実です。
公共交通機関であるはずのバス路線は、「もうからない」から廃止が続きます。
本書では、「交通権とは『国民の移動する権利』であり、日本国憲法の第22条(居住・移転および職業選択の自由)、第25条(生存権)、第13条(幸福追求権)などを実現する権利と位置づけ」、「社会インフラとしての交通がベースにあり、その上に医療・福祉・教育をはじめとする住民の生活が営まれている」ことを見据えることは、その状況をもっとも把握できる基礎自治体が責任をもって実現すべきではないか、と、全国での各自治体の実践も示しながら、提起してくれています。
「住民の福祉の向上」に責任を持つ自治体が、交通政策を福祉政策として、まちづくりの一環として位置づける時代だと私は思います。
とにかく、「けしからん」と言っているだけでは前に進まない現実から出発です。