おこぼれ経済/憲法を基準に新しい政治を

140802おこぼれ経済

 

『「おこぼれ経済」という神話』(石川康宏著、新日本出版社)を読みました。

1950年代半ばから70年代初頭の「高度成長」期には、労働組合による賃上げのたたかいと相まって、「大企業の成長」と「国民生活・家計所得の上昇」がそれなりに両立を見せていました。

しかしその後、とりわけ90年代以降の日本経済は、「大企業の成長」と「国民生活の向上」が連動させないものに変質してしまいました。

140803「おこぼれ」p.24
【本書24ページ】

「おこぼれ(トリクルダウン)経済」というのは、「大企業が潤えば、いまに国民も潤う」という、10年ほど前に小泉純一郎首相が繰り返した経済思想・経済観です。

はっきりしていることは、すでに当時、「多国籍企業と一国経済の矛盾」は深まっていて、そこから国民の目をそらすために広げられたのが「おこぼれ経済」神話でした。

140803「おこぼれ」p.37
【本書37ページ】

という話を、戦後日本経済の変化の様子、とりわけ「失われた20数年」の実態、「おこぼれ経済」発信源の経団連が歴代政府に求めてきた経済政策、アベノミクス「三本の矢」に消費税増税、社会保障削減を加えた「五本の矢」の経済効果、これら経済政策が自民党のめざす近未来の日本社会づくりの一環であることから、その社会像を自民党の新綱領(2010年)と日本国憲法改正草案(2012年)から検証します。

140803「おこぼれ」p.108
【本書108ページ】

33の図表類を資料として示しながら、「大手が儲かれば暮らしもよくなる」虚構をあばき、財界言いなりの政治の転換、アメリカまかせではない安保・外交政策、日本の侵略戦争と植民地支配に対する認識の問題、これらの出発点となる日本国憲法の精神を基準に、新しい政治の展望が語られます。

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