第二次世界大戦後、憲法9条のもと、世界の信頼を積み上げてきた歩みを、安倍政権の判断でくつがえそうとする暴走をまた始めようとしています。
各紙とも、こぶしを握って力説する安倍首相の写真を載せ、「最後の歯止め 外すのか」「首相、都合よく正当化」「政府権限、際限なき拡大も」「海外派遣、広がる危険性」(「朝日」)、「専守防衛 逸脱の恐れ」「民意欠くプロセス 疑問」「『容認ありき』が鮮明」(「福島民友」)の見出し。
安倍首相としては憲法破壊へ突っ走る野望を実現する意思表明です。
ところできょうの「朝日」では、「しんぶん赤旗」日曜版の今度の18日付けに自民党の加藤紘一元幹事長(74)がインタビューに答えていることを記事で紹介しています。「自民党重鎮が共産党機関紙で政権批判を繰り広げるのは異例」と書いていますが、当たり前です。
加藤さんは、安倍首相の考えについて「自衛隊を海外に出し、米軍と肩を並べて軍事行動させようということ」と批判、「徴兵制まで行き着きかねない」と警鐘を鳴らし、「『二度と銃は持たない』というのが守るべき日本の立場」と訴えています。
「赤旗」インタビューと言えば、5月23日付けの「週刊朝日」では、やはり自民党元幹事長の古賀誠さん(73)が「昨年6月、古賀氏は共産党機関紙『しんぶん赤旗』を皮切りに、新聞・雑誌、テレビで安倍首相に耳の痛いことも指摘している」といった質問を含めたインタビューを掲載しています。
そこで古賀さんは、「政権発足後の右傾化のテンポがいくらなんでも速すぎ」「今の姿勢はきわめて危険だし、暴走」「自衛隊が戦うことになることは間違いない。殺し、殺されるというのが必ず生じてくる」と、安倍政権の危険性をきびしく指摘し、「とりわけ憲法9条について私は『世界遺産』だと思っています」「平和ほど尊いものはありません。憲法9条は絶対です」と語っています。
「殺し、殺される」で言うと、野田聖子・自民党総務会長(53)は、『世界』(岩波書店)6月号インタビューで、「集団的自衛権が行使できる、武力行使ができるとなれば自衛隊は軍隊になる。軍隊は殺すことも殺されることもある」「人を殺す、人が殺されるかもしれないというリアリズムを語るべき」で、「議論の中には、そうしたリスクについて出ておりません」と、自民党内でもまともな議論がないことを語っています。
ついでに8日付けの米紙ニューヨークタイムズが「日本の平和憲法」(Japan’s Pacifist Constitution)と題する社説で、安倍首相が解釈改憲で憲法9条を無効にしようとしていることに、「そうしたやり方は民主的な手続きを完全に損なう」(Such an act would completely undermine the democratic process)と批判し、安倍首相に対し、「憲法のもっとも重要な機能は権力のチェックだということを知るべきだ」(he should know that the Constitution’s primary function is to check government power)と強調し、「政府の気まぐれな思いつきで変更できるものではない。さもなければ憲法などわざわざもつ必要などない」(It is not something that can be altered by the whim of government. Otherwise,there is no reason to bother with having a constitution at all)と 主張していました。
安倍首相が、法治国家、立憲主義、自由と民主主義といった人類の普遍的原理を価値観として共有しているとはとても言えない、と評されている人物だと、私は思います。
ともかく、原発被災地や被災者の暮らし再建のこと、福島原発事故原因究明のこと、事故収束・汚染水問題の抜本対策など、眼中にないことは明らかです。
彼による危険な野望をぜったいに阻止しましょう。
私は私で、医療・介護総合法案の危険な中身について語る場を依頼され、ちょっと整理します。