『福島の子ども保養 ~協同の力で被災した親子に笑顔を~』(西村一郎著、合同出版)を読みました。
福島県生協連、福島県ユニセフ協会、福島大学災害復興研究所が協力し、原発震災被災地・福島の未就学児と小学生やその保護者を対象に、週末や長期の休み期間中に低線量の地域で過ごしてもらうために、震災の年2011年の12月にスタートした「子ども保養プロジェクト」(コヨット)の実践現場取材報告です。
「コヨット」とは、「子ども」の「コ」、「保養」の「ヨ」、「プロジェクト」の「ト」を取ってつないだ愛称で、「来よっと!」という呼びかけでもあります。
本書は著者が、2013年3~11月にかけ、福島の子ども保養の活動に参加した参加者の気持ちを理解しようと、東京都、福島県、大阪府、奈良県、茨城県、青森県、新潟県、富山県で参加者と時間を共有した記録報告です。
原発事故の収束の見込みも見えないなか、低線量とは言え、目に見えない放射線に苦しむ子どもたちや保護者のための保養のとりくみは、本来、行政の事業だと私は思いますが、ともかく、本書では生協がかかわる活動の紹介です。
国民の生活の安定と生活文化の向上に寄与する生協法の理念からすれば、生協の社会的役割発揮とも言えます。
生協でよく言われる「一人は万人のために、万人は一人のために」は、本来の意味からすれば、「私は仲間のために、仲間は私のために」としたらどうか、と著者は提案しています。より身近に私も感じます。