『日本漁業の真実』(濱田武士著、ちくま新書)を読みました。
福島の漁業は現在は試験操業のみで、本格操業再開のめどすらありません。著者は、福島県地域漁業復興協議会委員や釜石市復興まちづくり委員会アドバイザーなどを務める漁業経済学などの専門家ですが、こうした地域への復興の思いも強く感じます。
古くからの漁場の棲み分けがあっても、有効に利用されていない漁場や資源があるのなら、人、資源、漁場、漁法を新たに検討して「漁礁の維持・保全・再生」すること、消費地の末端やユーザーとたくさんの産地を結ぶ大事な拠点として存在してきた水産物の卸売市場の本格的な再生が熱く語られます。
著者に与えられた本書のテーマは「日本漁業を俯瞰する」ことなのですが、「成長すべきは経済よりも、人間ではないであろうか」が問題意識の根底にあることがよくわかります。