今さらなんですが、参院選結果分析と展望の話です。
8月5日付けの週刊「全国商工新聞」で神戸女学院大学の石川康宏教授が比例代表の票数に基づき解説しています。その要点に私の主観を加えると以下の通りです。
一つは民主党の壊滅的危機の進行。09年には2,984万票を得て政権に就きましたが、今回はそれより2,200万票を失って4分の1以下、昨年末の総選挙よりも250万票減です。崩壊進行過程です。
二つは、自民・公明は得票を回復していません。政権を失った09年の自民は1,881万票、今回は1,846万票です。公明は09年が805万票、今回が757万票。自公合わせても、2,686万票から2,603万票に83万票減です。民主が減らした2,200万票をまったく取り戻せていません。
自民65議席の占有率は53.7%ですが、比例では34.7%でしかないのです。そのからくりは、47が選挙区で、その6割を超える29が1人区(小選挙区)です。その選挙区の自民の得票率は42.8%。昨年の衆院選でもはっきりしたように、小選挙区は民意をまったくと言っていいほど反映しません。
三つは、「みんな」と「維新」の勢いが止まりました。「みんな」は10年参院選で794万票、「維新」は12年総選挙で1,226万票でそれぞれ華々しくデビューしました。昨年などは「第三極」とマスコミにもてはやされましたが、今回はそれぞれピーク時の60~50%に落ち込みました。古い自民党政治を補完・促進する役割でしかないことが知られた結果です。
四つは、国民による政治探求の視野に日本共産党が入り込んできたことです。2000年代に400万票台半ばから後半の得票が、09年の494万票を最後に、民主や「第三極」の一時的ブームに押され、10年356万票、12年369万票と後退していましたが、今回は515万票です。
一時は熱狂的支持を得た民主党政権に見切りをつけ、「第三極」ブームを終息に向かわせるなど、具体的な政治体験を重ねながら、国民はその自然な探求の延長線上に日本共産党を「新たに発見」しつつある、という分析です。
自公政権は、消費税増税、原発再稼働、改憲、TPP加入、米軍基地問題など、参院選までの「安全運転」の縛りを解くことで、国民多数の意思とのねじれをますます深めていくほかにありません。大手マスコミが言いはやし伝えた「衆参のねじれ解消」は、「国民の暮らしとのねじれ拡大」です。
「解消」が実は「拡大」とは、社会の木鐸たる役割を大手マスコミはおよそ果たせていません。
この政権と対決する国民の力をさらに鍛え、政治の激動的な変化をさらに加速させることは間違いありません。
娘が先月25・26日と富士山頂に登った時の「御来光」と「ブロッケン現象」の写真をメールで送ってきてくれました。