『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?』(今野晴貴著、星海社新書・講談社発売)を読みました。
著者は、非正規雇用が増加し、就職活動が厳しさをましていた06年、大学生の時にNPO法人「POSSE(ポッセ)」を立ち上げ、労働相談活動を続けてきました。今も社会政策、労働社会学を専攻する現役大学院生です。
その労働相談の実態をベースに、経済学、政治学、社会学、法律学が示す要点を使い、「労使関係」と「労働」のそもそも、そしてどうすれば日本の「労働」を変えられるか、さらに変える可能性があることを示します。
「生の現実」から労使関係での違法・合法が決まる分析、個人が会社と向き合うことが実は日本社会全体とかかわっていること、「日本型雇用」の歴史的成り立ち、違法労働のそもそも、そして、「参加とつながりの積み重ねによって『関係』が構築され、はじめて一票で決せられる」、そのプロセスの重要性が語られます。
その語りの経過で、企業別労働組合が主流の日本の労働組合の根本的弱点、また、厚労省などがいう「限定正社員」とは基本的に発想が違う、「同一労働同一賃金」を基本に、仕事に応じた賃金を実現する「ジョブ型賃金」を提案もしています。