『白熱講義! 日本国憲法改正』(小林節著、ベスト新書[KKベストセラーズ])を読みました。
著者は、本書でも繰り返しているように「30年来の改憲論者」の法学博士である慶応大学教授です。それだけに、憲法9条改定や天皇元首化など、今の憲法のどこをどう変えたらいいのかを「憲法改正」論者が考えていることを知る意味では参考になります。
むしろ私が共感するのは、「憲法改正は、主権者・国民の圧倒的多数が納得した上での『改正(改良)』でなければならない。決して『改悪』であってはならない」という主張。
そしてまた、「憲法は、主権者である国民大衆が、権力を託した者たち(政治家とその他の公務員)を規制し、権力を正しく行使させ、その乱用を防ごうとする法である」、「憲法は権力者たちを縛る法であるが、それが、その権力者たちによって改正の提案がし易いものにされてしまって良いはずがない」という憲法観。
ここに「立憲主義」の本質があると私は思います。「憲法9条を守るぞ!」ではなく、「『(国家権力に)憲法を守らせるぞ!』と言わないと、権力者と大衆の位置関係がわからなくなってくる」という指摘です。
その本質が、憲法99条と96条に体現されているのだと私は思います。
ともかく私は、著者の「憲法改正」の内容に同意できませんが、憲法の見方に同意します。
ちなみに著者は、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」の日曜版4月28日付、日刊紙の4月30日付に登場し、安倍首相による「96条改憲」に厳しく異議を唱えています。