『欠陥「国民投票法」はなぜ危ないのか』(隅野隆徳著、アスキー新書)を読みました。
「国民投票法」というのは、「日本国憲法の改正手続きに関する法律」、要するに「改憲手続法」のことで、今月18日から施行されます。
07年5月、自民・公明だけで強行採決したもので、当時の安部晋三首相が「憲法改正を5年以内に行う」とするスケジュールにあわせたものでした。
ところがこの法律は、法案に不備があるときにしばしば行われる附帯決議が18項目も付くほど欠陥だらけです。
最低投票率が規定されていないので、たとえば投票率が40%とすると、無効票がまったくなかったとしても有権者の21%の賛成があれば改憲です。
「国民投票における過半数」が「賛成票と反対票の合計の過半数」とされるため、白票などは無効票とされるので、理論上はもっと少ない賛成で改憲実現です。
公務員や教育者の「地位利用」規制の問題もあります。テレビ、ラジオでの有料コマーシャル放送を投票期日2週間前までは自由です。資金力に物を言わせて世論誘導が可能、ということです。
附帯決議で必要とされた検討もされず、ほかにもいろいろ問題点が未検討のままで、施行されても運用できる状態ではありません。
私は「この国の主権者である国民一人ひとりが、九条を持つ日本国憲法を、時分の物として選び直し、日々行使していく」(04年6月10日「九条の会」アピール)ことこそ、今いちばん大事なことと思います。
ちなみに著者は、「憲法改悪阻止各界連絡会議」の代表委員で、今年1月の日本共産党大会で来賓あいさつされたお一人です。