『災害と子どものこころ』(清水將之編著、集英社新書)を読みました。
あの3・11が子どもたちの心に与えた影響についてずっと気になっています。本書では、1995年の阪神・淡路大震災時から子どもたちに寄り添う活動を続けている児童精神科医3人と、作家の柳田邦夫さんが執筆されています。
「泣いたり、怒ったり、イライラしたりする大人たちを間近に見る。認知症を進行させてしまった老人、アルコールに依存し始める大人など、普段の生活では出会わないような人たちを目撃する。さらに、警察官や安否確認などでやってくる見知らぬ人々が激しく往来する。このような場所で子どもたちが安心・安全を実感することは、とても難しい」。
私も震災直後の避難所で、そんな場面を目の当たりにし、自分が子どもの年齢だったら、この場面をどんな思いで見たんだろうか、と思ったのです。そして、こういう体験をして大人になったら、その時の体験・記憶が自分の人生にどんな負荷を与えることになるんだろうか、と思ったのです。
こういう災害時に、子どものこころを支えるために、大人たちは何を考え、どう行動すべきなのか、何ができるのか、ほんとうに私も悩みました。だけれども、その場の大人たちへの対応と、時間に流されてしまった気がして、今もまた悩み続けています。
原発事故の精神的被害は、時が経つにつれ、深く、広く、複雑化すると、客観的に思います。