『原発事故の理科・社会』(安斎育郎著、新日本出版社)を読みました。
昨年9月に発刊されたブックレットで、1時間もせずに読み切れ、しかも実にわかりやすいです。
著者は1962年、日本に原発が一つもなかった時に、東大工学部原子力工学科の第一期生になった人です。
卒業してから3年後ぐらいから日本の原子力政策に疑問を持ち始め、地域住民とともに悩み、研究者としての社会的役割を考えるようになった、とのこと。
それから40年来の原発政策批判を通じて、日本の政治・経済の病根の根深さを感じ、福島原発問題を「理科」の側面だけでなく、「社会科」の側面からも徹底的に検討すべきだと確信したうえでの本書です。
放射線の健康へのリスクをどうすれば小さくすることができるか、「理科」の側面から実践的に考えながら、なぜ日本でこうした「安全性軽視で、経済開発優先主義的な」原発政策が進められてきたのかを考え、主権者として、国のエネルギー政策をしっかり見定めたい、との思いが込められた本です。