自助・共助と防災/行政の役割/大震災の教訓

先日、社会保障と税の一体改革の「社会保障制度改革推進法」が、「自助」「共助」を明文化し、本人、家族の責任を基本に社会保障制度を改革するとんでもない法律であることに触れました。

県の「東日本大震災に関する福島県の初動対応について」の文書を見ていたら、最後の「まとめ」の中に、「地域において、実践的な防災活動の定期的な実施など、自助・共助の防災意識醸成の推進」と出てきました。

中央防災会議の専門調査会が2002年に自助・共助の推進を「防災協働社会の実現」に位置づけ、08年の「防災基本計画」修正で、「行政による公助はもとより、個々人の自覚に根ざした自助、身近な地域コミュニティー等による共助が必要」と規定するに至ったのです。

高齢化によるひとり暮らし・高齢夫妻暮らし、医療・介護の崩壊、人口の流出・移動、生活形態が様ざまな人・世帯が住む集合住宅の進出、などなど、自助・共助が成り立ちがたい無計画なまちづくりを進めた国・行政の責任はどこに行ったのでしょう。

市民側からではなく、行政側から「自助・共助・公助」が防災対策の理念として強調するには何かねらいがあるに違いありません。

自治体のほうは、職員の削減、臨時や嘱託職員による埋め合わせ、合併によるサービス範囲の拡大、そして消防事務、災害対応事務、防犯事務、さらには「国民保護」事務など社会的危機事態への対応事務など、防災部門の事務は増大し複雑化しています。こうして自治体の事務能力は疲弊し、低下しているのではないでしょうか。

この流れをそのままに、民主党は「地域主権」をさけびます。

自治体には、災害から地域と市民の生命、身体及び財産を保護する責任(災害対策基本法)を果たすこと、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割(地方自治法)発揮のために、その施策を充実させることこそ、大震災の教訓のはずです。

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