高橋源一郎『ぼくらの民主主義なんだぜ』(朝日新書)を読みました。発刊(15年5月)からほぼ2年、先日、いわきから見舞いに来てくれた友人からプレゼントされました。「朝日新聞」2011年4月28日から15年3月26日までの月1回の「論壇時評」に加筆し、まとめたものです。源一郎流・現在進行形・「身の丈」「等身大」民主主義探求の書です。「『民主主義』とは、ドイツの思想家、ハーバーマスの、想像力を刺激することばを用いるなら、一度も完成したことのない『未完のプロジェクト』」(14.5.29)。
「民主主義とは、意見が通らなかった少数派が、それでも『ありがとう』ということのできるシステム」(同)。
「『国家安全保障と情報への権利に関する国際原則』(通称「ツワネ原則」)…で、私がもっとも感銘を受けたのは、『わかる』ことだ。およそ、ことばを理解することができる者なら誰でもわかるように『原則』は書かれている」(13.12.19)。
「『民主主義』とは、たくさんの、異なった意見や感覚や習慣を持った人たちが、一つの場所で一緒にやっていくシステム…だから、(たったふたりだけ)から…(世界全体)まで、それぞれに違った『民主主義』がある」…「ぼくたちは、ひとりで、何種類もの『民主主義』に参加している。政治家たち、ジャーナリズムがいう『民主主義』は、その中の一つにすぎない。そして、その実現の仕方は、無数にあるはずだ。ひとりひとりの『ぼくらの民主主義』が」(あとがき)。
リスペクトすべき「民主主義」の考えが、古今東西の様ざまの人びとの引用を含め、ちりばめられています。