『原発のコスト』(大島堅一著、岩波新書)を読みました。
原発事故は、福島県に限らず、農林水産業を含め、たいへんなマイナスをもたらしました。事故による補償も、損害賠償を含め、進み始めています。事故にかかわらず、原発推進のための国家財政投入、使用済核燃料の処理・処分に当然にコストがかかります。
「原発のコスト」と言った場合、「発電コスト」には限らないわけです。
「あとがき」が印象的です。「すべての科学は批判的であるべきですが、こと原子力政策については、社会科学の領域でも批判的に研究している専門家は極端に少なく、時として孤独な作業を強いられます」。
人類との共存そのものが問われる原発は、こうして、批判を排除して推進されてきたのです。
少なくとも本書で指摘されていることは、市民常識にしたいものだとつくづく私は思います。