『大地動乱の時代』(石橋克彦著、岩波新書)を読みました。
この本は、1995年の阪神・淡路大震災の5か月ほど前に発行されました。
その時点で、「十~二十年のうちに、大地の運動の自然な成り行きとして、日本の心臓部を小田原、東海、首都圏直下の大地震が相次いで襲う可能性が高い」と指摘しています。
首都圏についての話でもあり、大げさだと批判もされたようですが、翌年には神戸で現実のものとなりました。
その後著者は、1997年に雑誌『科学』(岩波書店)10月号で、地震によって原発の大事故と大量の放射能放出が生じ、震災と放射能災害が複合・増幅しあう破局的災害を「原発震災」として提唱しました。
本書では大地動乱と原発事故に直接触れてはいませんが、ともかく、幕末に始まった大地震活動期が関東大震災をもって終わり、その後の地震活動静穏期に日本の首都圏は大地震に一度も試されないまま、野放図に肥大・複雑化して、本質的に地震に弱い体質になってしまったことを指摘します。
そして再び大地動乱の時代を首都圏が迎えることは確実である明快な根拠を、地震学者の良心が警告しているのです。