パラドックス

『パラドックスの悪魔』(池内了著、講談社)を読みました。

パラドックスの代表とされるゼノンの「アキレスと亀」の話もあるように、古代ギリシャの哲人たちが投げかけて以来、2500年の歴史をもつパラドックスです。知的ゲームとして、あるいは現実の矛盾をあばき出すものとして使われてきました。

本書では、ギリシャの時代にさかのぼりながら、現代社会がはらんでいるパラドックスをまとめているのですが、次の展開を予想させるような感じです。

修辞法のパラドックス、物理学のパラドックス、生命世界のパラドックスの話もさることながら、エコポイントで大量消費と大量廃棄をおしすめるパラドックス、使えない核兵器に莫大な金をかける「抑止力」のパラドックス、何万年も先の未来の世代まで負の遺産を背負わせる原発のパラドックスなど、「今を大事にしすぎるがために、未来のことを考えなくなってしま」った現代社会のありようを深く考えさせられます。

著者は宇宙物理学が専門の研究者です。

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