職業としての科学

『職業としての科学』(佐藤文隆著、岩波新書)を読みました。

著者は世界的に著名な宇宙物理学者で、私が学生時代は現役の教授でした。お会いする機会はありませんでしたが。

本書は、「科学とはなにか」といった話でなく、日本で言えば70万人、世界全体で700万人の研究者たちが担っている現代の科学界を前提に、科学の制度が常人の職業として持続可能であることが肝要だ、という話です。

そのためには、若者が、狭い経験や眼前の現実に目を奪われずに、歴史で想像力を養う思考の転換が必要だ、と訴えています。

民主党政権の「事業仕分け」で、「世界一でないとなぜだめなのか」という詰問にハタと目を覚まされた、ということから話が始まっています。

「アメリカの政策と連動した日本での科学技術基本法制定を通して見れば、冷戦崩壊が転換期のスイッチ」といったことを含め、「歴史的に科学にこびりついているイデオロギーを俯瞰的に理解」し、「歴史から想像力を育む一助となれば」とは著者の願い。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です