網野善彦『日本中世の百姓と職能民』(平凡社ライブラリー)を読みました。1998年に平凡社選書として発行されたものを、2003年にライブラリー版にしたもので、私にしてみれば、「積ん読本」の消化読書です。大半が1980年代に書かれた文章を編んだものですが、相変わらず、「本書は、さまざまな『常識』を覆し、その背後にあった私たちの気づかぬ固定観念を払拭していく」(解説/和崎春日・文化人類学)。著者の「新稿」の「むすび」から強引に引用すると、「百姓が農業を含むきわめて多様な生業に従事するふつうの人たちであったという事実を前提とするならば…その生活は中世の当初から市庭(いちば)と不可分に結びついていた。/十三世紀前半までの百姓は、米や絹・布を主に交換手段-貨幣として、自らの生産した生産物の少なくとも一部を商品として市庭で売却し、生活に必要な物品を購入しており、そうした交易なしにその生活は成り立ちえなかった。…」
網野さんの本は、つねに刺激的です。