『「日本会議」史観の乗り越え方』(松竹伸幸著、かもがわ出版)を読みました。まずは、日本会議の主張が抑制的になったところが侮れない、という視点が強調されます。組織の結束力を維持して、国民の支持のもとに、当面で言えば改憲を本気で達成しようとするわけですから、当たり前かもしれません。
そのうえで、とりわけても日本の近現代史について「光と影を統一的に捉える見地」に立つことを提起。以下、そのまま引用すれば、「日本の植民地支配をめぐる問題…と、日本が植民地として支配されず、独立を保ったこととの関係をどう捉えるかという問題」、
「日本の戦争が侵略だったのか自衛だったのかという問題」、
「現在の東南アジア地域における日本の戦争の問題」、
「『先の大戦』に対する裁きの問題…東京裁判(極東軍事裁判)の評価をめぐる問題」、
最後に、「若者に歴史の何を受け継いでいくのか」、「戦争で亡くなった兵士に何を言うべきなのか」を考察します。
いずれにせよ、歴史観こそが日本会議を日本会議たらしめており、日本会議の実際の主張に即した批判を通してこそ、巨大な影響力を持ちつつある日本会議を乗り越えることができる、と著者は考えています。著者は安倍晋三と同い年。