夕陽妄語1 1984-1991

『夕陽妄語1 1984-1991』(加藤周一著、ちくま文庫)を読みました。全3巻を 「2」「3」「1」の順で読みましたが、手に入った順番です。夕陽妄語1

一つの文章は3,000字弱ぐらいの短文ですが、幅広い知識を背景に、きりりっとしまった思考が詰め込まれている文章で、さらっと読むというわけにはなかなかいきません。2巻の解説で鷲巣力(わしず・つとむ)さんは、「夕陽妄語」全体にも、一回一回の文についても「深い教養と高い見識によって支えられる『知の饗宴』としかいいようがない」と書いています。夕陽妄語1カバー裏「夕陽妄語」について加藤さん本人は「新聞に載せるよしなしごとというほどの意味」と説明しますが、どういう思いが詰まっているかの話には、詩人菅茶山、プルースト、「万葉集略解」、兼好法師、フッサールがさらっと出てくるのです。私は徒然草ぐらいしか思い浮かびません。

解説の成田龍一さんがいろいろ特徴づけてくれています。
「出来事の意味を論じ、座標を示す営みの一つ」、「政治を語り、芸術を論じ、政治と芸術を講じる」、「時代に向き合い、<いま>の時代の文脈を読者に伝える」、「輿論 public opinion の進展を図(る)…加藤の勝負の場」。DSC03121

第3巻の解説で小川和也さんが、「自分の関心に即したものを索引で探し、索引から『夕陽妄語』を読む。索引項目は人名、書名、映画、芝居、事件、それから「イデオロギー」とかの鍵言葉も!」と書いていることに強く同意します。

「夕陽妄語」は1984年7月から、加藤さんが2008年12月5日に89歳で亡くなる直前の08年7月まで、3回の休載があったものの、24年間、全285回にわたって書かれました。160831加藤周一

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