『医療・福祉政策のゆくえを読む』(伊藤周平著、新日本出版社)を読みました。
「生活困窮者や失業世帯、高齢者世帯などを必要な支援からますます遠ざける」「医療・福祉の介護保険化は、現在、急増している」という認識、そして「ここまで介護保険の限界が明らかになっている現在、政党や社会保障運動の側からも、介護保険法廃止とそれに代わる新法制定の立法運動を立ち上げる時期…当面は…難しいとしても、将来的に、それを見こして、高齢者も対象にすることを前提とした障害者総合福祉法を構想していくべきである」という提言は傾聴に値すると思っています。
民主党の政策をめぐり、「明確な政策理念・ビジョンが欠如しており、政策間の不整合が著しい」、「議員の多くは、社会保障についての専門知識がなく、内容よりもパフォーマンスを重視する傾向が目立っている」、「現金給付により所得保障さえすれば、あとは、個々人が医療・福祉サービスを商品として買えばよいという市場型の医療・福祉制度と容易に結びつきやすい」と特徴づけています。
社会保障の財源問題にもふれながら、望ましい医療・福祉制度のあり方を展望するうえで、たいへん興味深く読みました。