ルポ 消えた子どもたち/「助けてって何度も何度も思っていた」/子どもの人権・社会保障の課題として

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『ルポ 消えた子どもたち』(NHKスペシャル「消えた子どもたち」取材班、NHK出版新書)を読みました。

取材班として、「何らかの理由で社会とのつながりを絶たれた子どもを『消えた子ども』ととらえ、子ども本人に直接会って話を聞くことと、独自の調査を行って、できる限り実像に近づくことを取材の目標」としました。

8人の取材班を立ち上げたのが2014年8月、そしてその取材結果は「同じ年の12月にニュースや「NHKスペシャル 報告調査“消えた”子どもたち-届かなかった『助けて』の声」で放映されました。

160301消えた子ども帯_R【オビに引用されている「はじめに」】

本書はその番組取材によるものです。

18歳まで家に監禁され、小学校にも中学校にも一度も通えず、自力で家から逃げ出し、警察に保護。

車上生活を余儀なくされ、1年以上、小学校に通えず、父親の病死をきっかけに児童相談所に保護。

母親の精神疾患が原因で、中学校にはほとんど通えず、母親が逮捕されたことをきっかけに保護。

160301消えた子どもカバー_R【カバーソデのキャッチコピー】

本書の取材に応じた子どもたちです。

どのケースも、たまたま、本人の勇気や偶然をきっかけに社会が気づき、適切な機関へと送られたのですが、もしかしたら、今もこの子どもたちは消えたままだったかもしれない、とは著者たち。

最初の子は、「もう同じような思いをする子どもが生まれてほしくない」からと取材に応じ(というか、ほかの子たちも)、「先生も、行政の人も、誰も、誰ひとり、私の存在に気づいてくれなかった。助けてって、助けてほしいって何度も何度も思っていたのに、まるでこの世に存在していないようだった。ずっとずっとこの世にひとりきりだった」…

果たして今も繰り返されていないのか…

子どもたちの「助けて」の小さなSOSの声をすくい上げる社会的しくみが当面必要ですが、根本は、本書の「おわりに」でも触れているように、子どもの人権、社会保障の重要な課題として、こういった子どもたちがそもそも生まれない社会構築へどうするか、真剣にとりくまないとなりません。

指針は日本国憲法にあるのです。

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