生活保護/貧困を加速させる悪循環/日本全体にとっての福祉の提案

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『生活保護』(今野晴貴著、ちくま新書)を読みました。

4年前(2012年)4月、「年収5000万円 超人気芸人『母に生活保護』の行天の言い分」というタイトルの記事が雑誌に掲載され、生活保護制度への「バッシング」が異様に高まりました。

この事件をきっかけに、翌2013年の国会に、保護給付の削減、申請の厳格化、罰則の強化などの生活保護法改定案が提案され、その審議の真っただ中に本書は書かれています。(改定案は通されてしまいます)

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「バッシング」が高じるあまり、冷静に「社会保障制度」としての生活保護の機能が議論されず、「思考停止状態」の中で、制度改革論が先行しているように見える事態に強い危機感を持つ、と著者。

著者は大学在学中の2006年、若者の雇用問題に取り組むNPO法人「POSSE」を立ち上げ、09年からは生活保護の相談も受けていました。

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相談の実態から浮き彫りとなって見えてきことは、生活保護行政にかかる遠大な労力が、貧困の削減や自立の促進ではなく、「救済すべき貧困者かどうか」を審判するために用いられ、貧困をますます加速させていく悪循環。

この悪循環が違法行政とともにどのように成立しているかに迫り、なぜバッシングが生じるかを考察し、これらの実態から、日本全体にとっての福祉をどう構築するか、新しい問題提起の書です。

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