『中国侵略の証言者たち』(岡部牧夫他編、岩波新書)を読みました。衝撃です。
私はこうした証言者がいることを知りませんでした。「こうした」というのは、1956年6月から7月にかけて中国で戦犯裁判を受け、その年の内に帰国し、57年には「中国帰還者連絡会」(中帰連)を結成し、戦争犯罪に関する加害証言にとりくんでいた事実です。
彼らが帰国当時、周囲から「アカ」扱いされて差別され、公安警察関係者の監視に悩まされ、「洗脳とやらの“魔法”にかけられて、頭の脳ミソを入れ変えられたんじゃないか」と書いた週刊誌もあったそうです。
現実は、「罪の大小にかかわらず、侵略戦争そのものの罪悪性を心底から認識できるようになったこと、その結果、中国人民に真正面から頭を下げ、二度と銃を向けないと誓うことができるようになった」、「私たちは戦犯となって初めて、人間らしい生活を送ることになった」(第5章)のです。
帰還者だけの組織であった中帰連は2002年に解散し、当事者以外の人たちを含め、「反戦平和・日中友好」を願う団体として「撫順の奇蹟を受け継ぐ会」に証言の聞き取りなどの諸とりくみが引き継がれています。