「日本国憲法」ってなんだったっけ? 09年版・№8      

日本国憲法第13条。「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」。  

 
 書き出しの一文は、日本国憲法の条文でいちばん大切な一か条だ、という人がいるぐらい大事な条文です。なぜかと言えば、「全体としての国民」あるいは「主権者としての国民」が、みんなであることを決めるとしても、一人ひとりの「個人」を尊重する原則を侵してはならない、と言っているからです。

 もちろんこの場合、自分のことしか考えない「利己主義」は論外で、「社会的に生きている個人」が前提です。「個人主義」とは何か、という話になりそうですが、ここらはおおいに議論すればいいと思います。日本国憲法はふところが深いんです。

 その次の一文があることで、13条を「ドラえもんのポケット」という人もいます。つまり、人間として生きるために不可欠な権利であるかぎり、この条文によっていろんな道具が引っ張り出せる、というわけです。

 たとえば、「プライバシーの権利」、「環境権」、「日照権」、「静謐(せいひつ)権」、「眺望権」、「入浜(いりはま)権」、「嫌煙権」、「健康権」、「情報権」、「アクセス権」、「平和的生存権」などです。

 13条は、国民の不断の努力によって、こうして憲法自身を豊かにしてきた歴史があります。それなのに「新しい権利を憲法に書き込め」と言う意図は、別なところにありそうです。

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