戦後史のなかの福島原発

140803戦後史原発

『戦後史のなかの福島原発』(中嶋久人著、大月書店)を読みました。

日本近現代史の研究者による、原発建設の歴史的経過について正面から検討した本です。

原発が立地された「福島県浜通り」は、著者が『原町市史』編さんや、浪江町の自由民権家刈宿仲衛(かりやど・なかえ)の研究などを通してゆかりがあり、眼前によみがえるのは「その折に目にふれた、山林や田畑など、緑美しい大地」です。

その土地から「福島県浜通りの人びとは福島第一原発事故によって追い出された」、「こうした状況を歴史研究でどうとらえたらいいのか」、「どのように、福島県浜通りの人びとが生きてきたのかということが、彼らがどのような地域で生活するにせよ、その生存を構想する前提になるのでは」、そんな思いが込められています。

「三・一一は、原発が建設される地域においては、生存の基盤となる地域社会全体に対するリスクと、地域生活を営むうえでの雇用・補助金などのリターンとの交換は、いかに不等価のものであったかということを明らかにし」ました。

原発依存社会からの脱却の第一歩は、その経過の理解にある、と著者は提起します。

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